体外受精とは?治療の流れとメリット・デメリットを解説

高度生殖医療のひとつである「体外受精」。

年々実施件数は増えており、2016年に行われた新鮮胚を用いた体外受精では4,206人が産まれています。*1

とはいえ、体外受精がどのような治療なのか分からないと、一歩踏み出すには勇気がいりますよね。

また、タイミング法や人工授精をしてもなかなか妊娠しない場合は、体外受精へのステップアップを考えます。

このときに迷いやすいのが、「どのタイミングでステップアップするか」です。

そこで今回は、

・体外受精の概要と妊娠率

・体外受精の流れ

・体外受精のメリットとデメリット

・体外受精にステップアップするタイミング

についてまとめました。

体外受精を検討している人や、ステップアップに悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。

体外受精とは?対象となる人と妊娠率について

Baby clothes with test-tube and heart. Concept – IVF, in vitro fertilization. Waiting for baby, pregnant.

体外受精(IVF)は、文字通り卵子と精子を取り出して体の外で受精させ、子宮内に移植する方法です。

厳密にいうと顕微授精も体外受精に含まれますが、ここでは体外受精のみをテーマにしてお話します。

体外受精では、卵子と精子をシャーレのなかにいれて受精を確認したあと、ある程度細胞分裂が進んだところで移植します。

顕微授精は卵子の中に精子を注入して受精させますが、体外受精は人の手を加えず自然に受精するのを待ちます。

これが、体外受精と顕微授精の違いです。

対象となる人は、タイミング法や人工授精でも妊娠に至らない人が中心になります。

対象となる疾患は、卵管閉塞、乏精子症、精子無力症などです。

受精自体には人の手が加わらないため、受精する力のある卵子と精子である必要があります。

そして気になるのが、体外受精の妊娠率ですよね。

日本産婦人科学会がまとめた2016年のデータによると、新鮮胚移植における移植あたりの妊娠率は22.7%でした。*1

この数値をみて、どのように感じるでしょうか?

例えば、両側の卵管が閉塞している場合、自然に妊娠する確率は0%です。

それが、体外受精をすれば妊娠する確率が約22%になると考えると、不妊に悩む人にとって希望になる治療法ではないでしょうか。

体外受精の流れは?どんな順番で進む?

不妊治療/胚盤胞/受精卵/アシストハッチングの写真

では、ここで体外受精の流れを説明します。

おおまかには、①排卵誘発、②採卵・採精、③受精、④移植の順番に進みます。

①採卵

採卵に向けて、質の良い卵子を育てます。
採卵スケジュールには、以下の2つがあります。

【刺激周期】
排卵誘発剤にて卵巣を刺激し、複数の卵子を育てます。排卵誘発剤には、注射と飲み薬の2種類あります。

良い状態の卵子が複数育ち受精卵になれば、凍結保存できます。そうすることで、今周期が陰性だった場合や2人目を希望する場合に、採卵せず移植からスタートできるメリットがあります。

多くの場合、刺激周期が行われます。

【自然周期】
薬を使わず、自然に育つ卵子を採卵します。排卵誘発剤でも卵子が育たない場合やホルモン検査の結果など、医師が適切と判断した場合行われます。

②採卵・採精

卵子が成熟したら、採卵します。
膣から超音波の器械と採卵針を入れ、卵巣から卵子を採取します。

麻酔を使って行われることが多いですが、病院によっては麻酔なしの場合もあります。

男性は、採精を行います。

受精までの時間が長くなると精子の質が落ちるため、このタイミングで採精することが多いです。

③受精

シャーレの中で、精子と卵子を受精させて2~5日程度、培養します。

④移植

状態の良い胚を子宮へ移植します。
子宮内膜の状態や卵巣刺激の副作用によっては、移植せずに凍結して、次周期に移植する場合もあります。

また、状態の良い胚が複数できれば、凍結して次周期以降に移植することも可能です。

体外受精のメリットとデメリットとは?

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体外受精は、妊娠の可能性を広げる一方で大変な面もあります。

ここでは、メリットとデメリットとしてそれぞれまとめました。

メリット

・受精が確実にできる

シャーレの中で受精させるので、人工授精とは違って正常に進んでいることが目で見て確認できます。

また、状態の良い胚を選んで移植できるため、妊娠率が高まります。

デメリット

・費用が高い

健康保険がきかず自由診療なので高額です。

1回当たりの平均額は、30~40万円程度といわれています。*2

ただし、各自治体で「特定不妊治療費助成制度」があり、一部の費用が助成されます。

・排卵誘発剤の副作用がある

排卵誘発剤には副作用があり、なかでも卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が知られています。

排卵誘発剤の刺激により、卵巣が腫れたり腹水が溜まったりします。

重症の場合には入院する必要があるため、注意が必要です。

・多胎妊娠の増加

日本産婦人科学会は、2008年4月に多胎を防止するため移植胚数を原則1個とする見解を示しています。*3

しかし、年齢やその人の状態によっては複数の胚を移植する場合もあります。

妊活している人は多胎妊娠に憧れをもつかもしれませんが、妊娠・分娩共にリスクがあります。

・通院の負担が増える

体外受精では、排卵誘発から採卵、そして移植と、何度か通院しなければいけません。

仕事をしている人は休みをとる必要があるので、時間の調整が難しくなります。

なかには、職場の理解が得られず退職する人もいます。

体外受精へステップアップ。どのタイミングで踏み切る?

Patient couple consulting with doctor or psychologist on family men and women’s medical healthcare therapy, In vitro fertility IVF treatment for infertility, or STD sexual health concept
Patient couple consulting with doctor or psychologist on family men and women’s medical healthcare therapy, In vitro fertility IVF treatment for infertility, or STD sexual health concept

体外受精で悩むポイントのひとつが、「どのタイミングでステップアップするか」です。

結論から言うと、その人の状態や病院の治療方針によって異なります。

影響を与える因子としては、年齢や卵子・精子の状態、人工授精でもなかなか妊娠しない、などがあります。

例えば、同じ病気が原因で不妊治療をしていたとしても、年齢が高ければ早めにステップアップすることが多いです。

なかには、人工授精を6回行っても妊娠しない場合など、基準を定めている病院もあります。

体外受精は、人工授精よりも妊娠率が上がります。

しかし、見出し3で挙げた通り治療費や通院の負担なども増えるため、まずは夫婦同士でよく話し合うことをおすすめします。

その後、医師とも相談しながら決めると、納得して進めるでしょう。

【まとめ】

体外受精は、子どもを授かるひとつの方法として普及してきました。

しかし、身体的にも経済的にも負担が大きくなります。

夫婦でよく話し合い、どのように不妊治療を進めるのか考えながら取り組んでいきましょう。

【参照サイト】

*1

日本産科婦人科学会雑誌70巻9号「平成29年度倫理委員会 登録・調査小委員会報告(2016年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2018年7月における登録施設名)」

 1823P

*2

内閣府 「選択する未来 Q10 日本ではどの程度に不妊治療(生殖補助医療等)が普及していますか。」

*3

日本生殖医学会 「不妊症Q&A Q.12 体外受精とはどんな治療ですか?」