子育てに向けて一歩踏み出したい!養子を考える夫婦が話し合うべきポイントについて
不妊治療をやめて養子を迎えようと考えたとき、ネットから情報を集める人がほとんどだと思います。
しかし、ネットにあるのは大まかな概念や課題ばかりで、具体的な情報を得られないと感じることも多いです。
また、夫婦で話し合いを進めるものの、意見が一致せず行き詰ってしまう人も少なくありません。
ダラダラと時間が経過し、団体が定める年齢制限をオーバーして養子を迎えられなかった…というのは避けたいですよね。
そこで今回は、具体的に養子を考え始めた人に向けて、
・養子を迎える方法
・夫婦で話し合うポイント
・夫婦の意見が一致しなかったときの対処法
・養子の情報収集の方法
について、実際に特別養子縁組で養子を迎えた私が解説します。
もちろん、焦る必要はありません。
じっくり夫婦で話し合い、子育てに向けて前向きに考えるきっかけになれば嬉しいです。
養子を迎える方法は、児童相談所と民間あっせん機関の2つ

養子を迎えるには、児童相談所か民間あっせん機関に相談することから始まります。
それぞれの特徴や違いをまとめました。
①児童相談所
里親のなかの「養子縁組里親」に登録することで、養子を迎えることができます。
養子になるのは、主に2歳以降の子どもです。
これは、子どもに障害がないかどうか見るために、ある程度の年齢まで経過観察します。
しかし、これでは大人と子どもの愛着関係構築のスタートが遅れてしまいます。
そこで一部の自治体では、新生児の段階で積極的に養子縁組を行っていますが、まだまだ少ないのが現状です。
費用は、基本的にかかりません。
②民間あっせん機関
「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律」が改正され、民間あっせん機関は届け出制ではなく都道府県による許可制になりました。
これは、高額な費用を要求する営利目的の団体を排除するためです。
2019年10月1日現在、全国に21団体あります。*1
民間あっせん機関では、主に新生児の養子縁組が多いです。
理由は、貧困やDV、臨月に入ってしまったなど、早急にサポートが必要な妊婦が駆け込んでくるためです。
出産したとしても育てられる見込みがないケースが多く、出産後早い段階で育ての親のもとへ引き渡します。
費用は民間あっせん機関によってばらつきがありますが、手数料や出産費用がかかるため高額になりがちです。
民間あっせん機関には、国からの援助がありません。
そのため、育ての親が費用を負担しないと、運営できないのです。
そして気になるのは、登録してからどのくらいの期間で養子を迎えられるかですよね。
児童相談所の場合、職員不足や虐待への対応などで、養子縁組にまで手が回っていないというのが現状です。
民間あっせん機関の方が取り扱う件数が多く、待期期間が短いといわれています。
養子について夫婦で話し合うポイント

養子を考え始めたとき、夫婦で話し合ってほしいポイントがあります。
スムーズに話し合いが進まないかもしれませんが、人生を左右する大切なことなのでじっくり向き合ってみてください。
①不妊治療をいつまで続けるのか
あと1回治療しても陰性だったら、40歳になるまでなど、不妊治療をやめるタイミングは夫婦によってさまざまです。
民間あっせん機関のなかには、不妊治療中だと育ての親待機者として登録できないところもあります。
難しいポイントかもしれませんが、悔いのないように考えてみてください。
②夫婦の決意や子育ての環境は整っているか
一番大切なのは、養子を迎える覚悟です。
このように書くとプレッシャーを感じる人もいるかもしれませんが、養子になるのは産みの親が断腸の思いで手放した子どもです。
もし、育ての親が途中で育児を放棄した場合、子どもはつらい経験を2度もすることになります。
このようなことは絶対にあってはならないので、どんなことがあっても子どもを育てる決意が必要です。
また、養子を迎えるにあたり、夫婦のどちらかが育児に専念するよう求めている民間あっせん機関もあります。
これは、養子の相談が緊急で入ってもすぐ対応できる夫婦が必要であること、子どもとしっかり向き合うことで着実に親子関係を築くことなどが目的です。
休職できるのか、それとも退職するのか、自分のキャリアデザインも含めて考えてみましょう。
③児童相談所か民間あっせん機関か
見出し1でもお話ししたように、養子を迎える方法は児童相談所か民間あっせん機関です。
活動理念、費用、育ての親へにどのようなサポートがあるかなど、団体によって異なります。
いろいろな団体を比較したうえで、自分たちに合うところを見つけましょう。
養子について夫婦の意見が一致しなかったらどうすればいい?

養子について話し合いを進めるなかで、意見が一致しないこともあるかもしれません。
そうなったときの対処法を、3つのポイントにまとめました。
①焦らず話し合い、相手を責めない
話し合いが前に進まないと、つい焦ってしまいますよね。
特に相手がはっきり意見を言ってくれない場合、きちんと考えているのだろうかと疑い、責めるような口調になることも。
しかし、相手もいろいろと考えてはいるものの、うまく言葉にできないだけかもしれません。
冷静に、そして前向きに話し合えるよう、できるだけ感情はフラットに保ちましょう。
②意見が一致しない部分や不安な気持ちを具体的にする
意見が一致しないときは、どういう部分で夫婦の考え方が違うのか具体的にしましょう。
不安な気持ちはなぜ不安なのか、どういうことが不安なのか、具体的に掘り下げることをおすすめします。
「何となく不安」では、お互いの気持ちを知ることもできませんし、前に進むこともできません。
なぜ?どうして?と考えを深めることで、夫婦の理解が深まります。
③説明会に参加する
「百聞は一見にしかず」ということわざがあるように、当事者に話しを聞くとイメージが変わる人も多いです。
実際に、私も児童相談所や複数の民間あっせん機関の説明会に参加しましたが、ごく普通に親子関係を築いている養子家族を見て、前向きな気持ちになれました。
ネットでの情報収集には限界があるので、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
詳しい情報収集の仕方については、次の見出しで説明します。
養子の情報はどうやって集める?

養子縁組の情報は、主にホームページ、説明会、イベントの3つから得られます。
①ホームページ
まず、児童相談所や各民間あっせん機関のホームページを見てみましょう。
育ての親に求める条件や養子を迎えるまでの流れなどが書かれています。
②説明会
ホームページを見て、気になる団体があれば説明会に参加してみてください。
団体によっては、まだ不妊治療を継続している人や夫婦揃わなくても参加できる説明会を開催しています。
団体の思想や雰囲気は直接話しを聞かないと分かりにくい部分なので、いくつかの団体の説明会に参加して比較するのもおすすめです。
③イベント
毎年4月4日は養子の日として、日本財団を中心にイベントが開催されます。
当事者の話しを聞けたり、民間あっせん機関が集まって説明をしたりと、盛りだくさんです。
その他、さまざまな団体が全国でイベントを行っています。
まとめ
養子を考えるうえで、夫婦の意見が一致しないのは珍しいことではありません。
だからこそ、疑問点や不安を具体的に言葉にして話し合うことが大切です。
また、説明会やイベントに参加すると、イメージが変わります。
団体側は「仲間が増える」という感覚で、参加者を温かく迎えてくれます。
行き詰ったときは、直接話しを聞いたり場の雰囲気を感じたりすることで、前に進むヒントが得られます。
「子育てしたい」という気持ちを大切に、一歩踏み出してみましょう。
参照サイト
*1
引用)厚生労働省 「里親委託ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018h6gatt/2r98520000018hlp.pdf 10P